混浴露天風呂連続殺人

::概説

このシリーズも結構歴史は古く現在までに24回放送している。もともとピンクハンターという名前で1979~1980年に2回放送したが、ここで混浴露天風呂を扱ったところ異常な高視聴率だったことから、急遽スタイルを変えてスタートしたものである。出演者や設定はピンクハンターシリーズと全く同じであるが、シリーズ名称が異なるため放送回数にこの2回は含めていない。

内容は至って簡単で、オープニングで起きた殺人事件の容疑者を追いかけて、または犯人の手がかりを見つけるために被害者がとった行動を実際に辿っていく中で、新たな殺人事件が起きるというものである。そして、各地を転々として行くとすべて申し合わせたように温泉地なのである。追跡の対象となる人物は容疑者とは限らず、家出した古谷の姪であったり、辞表を提出した木の実を古谷が追いかけるというパターンも存在した。人気の魅力は入浴シーンで登場する温泉ギャルズで、番宣でもこのシーンを中心に流し単発視聴者の獲得に力を入れている。まぁテレ東の温泉紹介番組をドラマ仕立てにして、軽いエロを加味したような番組だと考えるとわかりやすいであろう。

::出演者

主役は警視庁の左近太郎警部(古谷一行)と山口かおり警部補(木の実ナナ)である。このシリーズは14作目以前と15作目以降で設定を大きく変えており、このコンビ自体は変わらないものの所属が警視庁原宿分室から浅草分室へと変わったうえ、山口は警部に昇格している。15作目の冒頭でも2人揃って異動したことをコミカルに説明する部分があって、従来からのファンを楽しませている。なお、8作目では舞台を「超高層分室」に設定しているが、窓から見える外の景色が異なるだけで、キャストに変更はない。

これに脇役として部下と警視が加わり、原宿分室時代は鉢山秀才(常田富士男)と大平警視(金田龍之介)であったが、現在は倉本一平(火野正平)と大沢よね警視(片桐はいり)である。

部下は温泉好きという点では一致しているものの、両者とも個性的な俳優ということもあり、それぞれの持ち味を充分に加味した設定としている。細かい設定は後述することとして、次に警視について述べてみたい。

まず、大平警視は事件の発生を部下に告げたり、出張を命じるシーンでは凛々しく上司らしい雰囲気が漂っているものの、電話をしながら水虫に薬を塗るシーンなどオッサンパワーが炸裂していることも少なくない。古谷らは大平警視の命令によって出張することが多いが、古谷らが出張(場合によっては休暇)したいと申し出るパターンであってもすんなりOKしている。

これに対して、大沢よね警視は部下には非常に厳しい上司で、基本的に出張を命ずることはなく、古谷らが申し出ても出張が認められるまでには紆余曲折を伴う。最終的には認められるわけであるが、それでも厳しい条件を提示されることが多い。しかし、片桐はいりのキャラクターによってコメディータッチのドラマであることが強調され、以前よりも番組に深みが出ているのも事実であり、原宿分室時代と現在のどちらの方が良いとは一概には言えない。

::ストーリー

では現在の設定で簡単な番組の流れを見てみよう。まずオープニングは、

  • ①事件発生。誰かが地方へ出張しなければならなくなる。
  • ②古谷はめんどくさいので部下の倉本一平(火野)に出張を命ずる。
  • ③火野は「るるぶ」を見て出張先が温泉地であることを発見する。
  • ④古谷はやっぱり自分が行くと言う。
  • ⑤木の実は古谷だけだと心配なので一緒に行くと言う。
  • ⑥出張許可と費用を大沢よね(片桐)からもらう必要があり、2人はまず普通に言ってみる。
  • ⑦片桐は「だめだめ。」と言って受け付けてくれない。
  • ⑧少し待ってみる。すると、片桐が彼氏らしき人と楽しそうに電話で話し出す。このとき、電話のコードにぐるぐる絡ませてる右手の人差し指に注目。
  • ⑨ここで、古谷と木の実は同時に出張計画書を提出。
  • ⑩2人の間から火野もさりげなく提出。
  • ⑪片桐は送話口を押さえながら無言でポンポンポンと捺印する。このとき、表情の変わり方に注目。
  • ⑫片桐は再び楽しそうに話し出し、3人はうまくいったという顔をしながらその場を立ち去ろうとする。
  • ⑬しかし、片桐が「ちょっとあんたたち待ちなさい。」と言って呼び止め、でかい電卓で数字を打ち込み、「3人で2泊3日だからこの金額で。」と言ってめちゃめちゃ安い金額を提示する。
  • ⑭3人は文句を言うが、出張できただけでもいいかとあきらめる。

結局3人で現地へ向かうこととなる。このほかに最初は2人で出張するが、現地で呼んでもいないのに部下が合流することもある。

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ではその後の番組の流れを登場人物の設定とともに見てみよう。被害者と同じように温泉地を転々としていくが、事件に関係しない温泉シーンなどは毎日同じである。

部下は両者とも無類の温泉好きで、常田はすでに日本全国のほとんどに入っているという設定。火野に至っては温泉検査の器具を持ち歩いているほか、なめただけで「弱アルカリ性ですね。」と成分を当て、効能まで説明する。

古谷はそこまでマニアックではないが温泉好きで、聞き込み中に部下が「警部殿、すぐそこに温泉を発見いたしました。」というと、一度は「仕事中だ。一平も聞き込み続けろ。」と断るものの、最終的には一緒に入ってしまう。

すると、温泉ギャルズ(4人)がタオルを腰だけに巻きつけた極めて不自然な姿でキャーキャー言いながら入ってくるのである。最初は「えーここ混浴なのー?」とちょっと躊躇うが、古谷が「入りなさい。」と一言言うと「まぁいっか。」と言って結局入ってしまう。

2ヶ所目以降でも必ず入浴シーンがあり、行ってみると温泉ギャルズが先に入っているか、入っていると温泉ギャルズが入ってくる。必ず「やぁ!また君たちかぁ。」「あー!またあのおじさんたちだー。」というやり取りが行われ、火野がエロぶりを発揮することにより温泉ギャルズに温泉をバシャバシャかけられるシーンが展開される。

なお、かなり初期の作品では古谷の設定がまだはっきりと固まっておらず、古谷が混浴とは知らず露天風呂へ行くと温泉ギャルズがすでに入っており、慌てて脱衣所に戻ってしまうなど現在とは性格が異なる点が見受けられる。

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このとき木の実は別行動をとっており、その過程で後に犯人と判る人物と接触する。2日目以降も偶然同じ人物に遭遇し、その人物が男の場合は木の実のほうからお茶に誘うなど恋をしてしまう。実際はその人物が犯人であるため、行く先々で会うのは偶然によるものではない。犯人が警察の行動を監視する目的で木の実に近づいた場合など、現地で目撃者が一足早く殺害されることもあり、このときは温泉ギャルズが発見者となる。

これとは逆に、古谷や部下が単独行動しているときに接触した人物が犯人となるパターンも存在する。どちらのパターンにしろ3人がそれぞれ別の怪しい人物と接触するのが普通で、その中で木の実か古谷が好意を寄せている人物が犯人であると考えれば良い。ここでは木の実が接触した人物が犯人の場合を例に話を進めたい。

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2・3日経過してから古谷は「調べたいことがある。」と言って1人東京へ戻る。東京に戻ったということをビルの谷間を歩いている映像でわかりやすく表現しているが、ここが最も刑事らしいシーンであると言えよう。

そして再び現地へ戻って犯人のモンタージュを木の実らに見せる。このとき木の実はその顔にびっくりし、自分が好きになった男が犯人であると確信、自ら犯人に接触する。木の実が危なくなったところで古谷らが到着。事件が解決する。

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このほかにヤクザっぽい雰囲気を漂わせた男の二人連れが冒頭から登場することも多く、温泉ギャルズと同様に行く先々で出会うこととなる。しかし、視聴者を撹乱しているだけで犯人になることはなく、その正体はエンディングで明かされる。二人は幼なじみで中学生時代に同じ女の子を好きになり、その甘酸っぱい思い出を追い求めて旅をしていたというのが通例である。回想シーンが必ず流れ、学ランを来た二人が女の子から果物や花などを受け取る場面が展開される。エンディングになると二人がめちゃめちゃいい人に切り替わるところにも注目したい。

::総論

特に触れておきたいのは土曜ワイド劇場20周年特別企画として放送された17作目で、14作目を最後に引退していた常田富士男がこのときだけ復活している。常田扮する鉢山秀才は定年を迎えて紀行作家となり、全国を旅しているという設定であった。

古谷らは捜査の過程で細川たかしの銅像に行くこととなるが、そこに常田がいたときには感動したものである。登場したのはこのシーンだけではなく、警察の人間でないことを利用し捜査に協力している。

ちなみにこのときの温泉ギャルズは北海道・秋田、信州、九州でそれぞれ異なり、総勢12名が登場するという豪華版であった。

視聴者の人気も高いが、各地の自治体からもうちを取り上げてくれとの触れ込みが多く、今後も1年1回の割合で継続するとしており新作が期待される。

この文章は、1999年03月27日に公開されたものです。