土曜ワイド劇場シリーズ概説

::家政婦は見た!

家政婦の石崎秋子(市原悦子)が、うわべの華やかさからは想像もできないような上流家庭の内部事情をさらけ出していく人気シリーズ。殺人事件が起こるわけでもなく、一般庶民に勇気を与えてくれる作品である。

::明智小五郎

「江戸川乱歩の美女シリーズ」とも呼ばれるこのシリーズは、土曜ワイド劇場を代表する老舗シリーズの一つであり、土曜ワイド劇場を語るうえで決して欠かすことはできない名作である。江戸川乱歩特有の妖しくおどろおどろしい雰囲気と、定番となっている明智小五郎の変装シーンが魅力。主役の明智小五郎は天知茂→北大路欣也→西郷輝彦→稲垣吾郎と受け継がれているが、何と言ってもキザでニヒルな明智小五郎を演じた天知茂が圧倒的な人気を誇る。

::西村京太郎トラベルミステリー

警視庁捜査一課の“カメさん”こと亀井定夫刑事(愛川欽也)と十津川省三警部(三橋達也→高橋英樹)が、列車内で起きた殺人事件や列車を利用した身代金の受け渡しなど、鉄道を舞台とした難事件に立ち向かう。なかでも列車を利用した巧妙なアリバイトリックに挑むパターンに人気が集中する。主役のプライベートシーンがないため事件に集中できる数少ないシリーズの一つである。

::混浴露天風呂連続殺人

警視庁の左近太郎警部(古谷一行)と山口かおり警部(木の実ナナ)が活躍する娯楽性に富んだ作品。捜査の過程で各地を転々として行くとすべて申し合わせたように温泉地で、温泉ギャルズとの混浴シーンが視聴率アップに一役買っている。

::考古学者シリーズ

考古学者でありながら名探偵の相田古志郎博士(愛川欽也)と須田熊五郎警部補(黒沢年男)が繰り広げる、コメディータッチのミステリー。相田博士は元教え子の主催するパーティーに招待され、その会場で殺人事件が発生。須田警部補と協力し事件を解決へと導く。相田博士は発掘した古代人の道具をヒントにトリックを解明し、出生の秘密などを絡めながら意外な犯人像を浮かび上がらせる。

::フレンド旅行社シリーズ

正式名称は「実年素人探偵とおんな秘書の名推理シリーズ」というらしいが、筆者は昔からこう呼んでおり、土曜ワイドファンならこっちのほうがわかりやすいであろう。主役はフレンド旅行社の社長・浅村志摩男(愛川欽也)と唯一の社員・久保田倫子(榊原郁恵→鳥越マリ)である。ライバル会社であるラブリー旅行社と鉢合わせるシーンと、リンコの車に乗せてもらえずキンキンが折りたたみ自転車で追いかけるシーンに注目。

::船長シリーズ

杉崎啓三船長(高橋英樹)と船員の児島克生(船越英一郎(←船越栄一郎))、杉崎の妻・紀伊子(音無美紀子)が船内や身の回りで起こる事件を解決する。哀愁漂うテーマ曲が魅力。

::密会の宿

新宿御苑近くで旅館「くわの」を経営する桑野厚子(松尾嘉代)と、「くわの」の居候でノンフィクション大賞受賞を目指す作家の久保隆(森本レオ)が事件の解決に挑む。このほか「くわの」の従業員・のり子(野村昭子)が出演。最もフィルム撮影の映像が似合うシリーズ。

::タクシードライバーの推理日誌

タクシー運転手の夜明日出夫(渡瀬恒彦)は元警視庁刑事。事件に関係した女性との噂を週刊誌に書きたてられたのが原因で退職した。そんな夜明が乗せた女性客が殺人事件の容疑者として浮上。それをきっかけに警視庁時代の後輩・東山刑事(風見しんご)と再会し、夜明は女性客のアリバイ証人となる。その後、東山の上司で夜明の部下だった神谷警部(平田満)も登場。女性客のアリバイを主張する夜明と、何かトリックがあるのではないかと疑う神谷のケンカが見物。エンディングでの夜明とその娘・あゆみ(林美穂)の買い物シーンにも注目。

::温泉若おかみの旅情殺人推理

温泉旅館の若女将(大島智子→東ちづる)とその夫が旅館の仕事そっちのけで事件を解決する。大女将である姑(南田洋子→岡田茉莉子)は、事件に首を突っ込むなと叱るものの、裏では仲居頭と協力し息子夫婦よりも先に事件を解決しようと必死になる。仲居頭は若女将が夫に推理を話しているのを盗み聞きするが、聞き間違いをしてしまうためその後のシーンが笑える。なお、8作目以降はシリーズタイトルから「旅情」を外したうえ、夫を刑事とするなど大幅に設定が変更されたため、上記のようなシーンは見られなくなった。温泉地は毎回異なるため、ホテル名や役名も固定されていない。またキャスティングの変更がスムーズだった数少ない作品の一つである。

::終着駅シリーズ

新宿西署の“モーさん(ギュウさん)”こと牛尾正直(露口茂→片岡鶴太郎)と大上達夫が活躍する純粋な刑事物である。原作は森村誠一であり、別の場所で起こった2つの事件が徐々に1つに繋がっていくストーリー展開が視聴者を惹きつける。捜査会議で一言も発言しない露口茂。会議が終わっても一人だけ居残って煙草を吸いながら推理する露口茂。言葉を発しなくても表情だけで演技するのだ。渋すぎる。牛尾刑事=露口茂というイメージが強かったが、鶴太郎の牛尾もそれなりにはまっており、松村雄基とのコンビもかつてのララバイ刑事を思い出させた。新宿駅で特急「あずさ」を見送るエンディングと牛尾による「上京して都心で暮らす人々の孤独」、「新宿という街における人々の心」の解説が魅力である。鶴太郎が手がける題字にも注目。

::赤かぶ検事奮戦記

このシリーズはもともと1時間の連ドラであったが、その後火曜ミステリー劇場で放送されるようになり、火曜枠の消滅とともに土曜ワイド劇場に移動した。このときキャスティングを大幅に変更している。舞台は飛騨高山。岐阜地方検察庁高山支部の検事・柊茂(橋爪功)は、司法試験に合格したエリートではなく、検察事務官からの叩き上げで検事になった。このほか妻の春子(藤田弓子)と娘で弁護士(初期の作品では司法修習生)の葉子(畠田理恵→高田万由子→西條三恵)らが加わる。かつては柊検事をフランキー堺、妻を春川ますみ、娘は主に美保純が演じていた。柊検事の名古屋弁、裁判所での親子対決、そしてエンディングでの藤田弓子の入浴シーンに注目。

::探偵事務所

元警視庁捜査一課の刑事で現在はアイワ探偵事務所を経営する室生一喜(水谷豊)が主役。社員は、自分で離婚届を処理したという異色の経歴を持つ元区役所戸籍係の松井健次(段田安則)と元暴走族の浅田麻衣(井上晴美)の2人だけである。事務所は野村多美(野村昭子)の経営する焼鳥屋「多美」の2階を間借りしており、滞納している家賃の取りたてが見物。また、事務所の電話が鳴ったときに3人揃って神頼みするシーンにも注目。

::牟田刑事官事件ファイル

山下署の牟田一郎刑事官(小林桂樹)が事件を追う正統派ミステリーである。牟田は妻の明子(津島恵子)と二人暮らしであるが、ときどき娘の吉村君恵(丸山秀美)が孫のタロウとともに訪れる。この家庭でのシーンに事件解決のヒントが隠されていることが多い。なお、現在は君恵と明子はブラジルに住んでいることになっているため出演していないが、代わりに岩城警部補(東幹久)がメンバーに加わった。このほか裏情報に詳しい君塚尚(久保田篤)らが華を添える。

::同居人カップルの殺人推理旅行

弁護士を目指しているものの何回も司法試験に落ちている三上大輔(布施博)は創林出版に勤める内藤千秋(大寶智子)のマンションに居候している。2人は取材名目で旅行をするがこの過程で事件に遭遇する。編集長の森田雄太郎(江藤潤→ラサール石井→なし)とのやり取りと、エンディングでの2人のけんかに注目。なお、最終作でついに司法試験に合格し、エンディングでは千秋の部屋への入室を許可されている。

::湯けむり受胎旅行連続殺人

同居人カップルの夫婦版といったところであろうか。桐野杏子(片平なぎさ)は中学校の教師をしている卓也(松村雄基)と結婚して数年経つが、未だ子供に恵まれていない。卓也の母・和代(野村昭子)に見送られ子づくり旅行に出発。この中で事件が起きる。

::花ふぶき女スリ三姉妹

このシリーズは出演者が変わるたびにタイトルを少しずつ変えており、「花ふぶき(吹雪)女スリ三姉妹」「花吹雪美人スリ三姉妹」「桜吹雪美人スリ三姉妹」の3種類が存在する。三姉妹は、奪われた古文書や古美術品を取り返して欲しいとの依頼を受け、暴力団などの組織にスリのテクニックを駆使して挑む。

::大密室シリーズ

八木沢庄一郎警部補(植木等)と村岡紀夫刑事(錦織一清)が密室トリックに挑む。犯人は誰かというよりもトリックの解明に重点が置かれており、八木沢警部が室内の細かい傷などを発見することにより密室の謎に迫る。なお、設定は終着駅シリーズっぽいが、全体的な雰囲気は考古学者シリーズに近い。

::ミステリー研究会シリーズ

このシリーズも植木等主演のトリック物で、全体的な雰囲気もよく似ている。主役はミステリー研究家の久我京介(植木等)で、ほかに西川明夫(川﨑麻世→羽賀研二→川崎麻世)と山下洋子(岡安由美子→田中律子→櫻井淳子)が登場する。明夫と洋子はトリックの再現を行うときに最も活躍する。トリックを解明したときのほのぼのとしたBGMがちょっといただけない。

::京都殺人案内

老舗シリーズの一つで、京都府警シリーズあるいは音川音次郎シリーズとも呼ばれる。主役は京都府警捜査一課係長・“音やん”こと音川音次郎(藤田まこと)で、このほか娘の洋子(萬田久子)、秋山捜査一課長(遠藤太津朗)らが登場する。音川はぶつぶつ文句を言われながら秋山課長から出張許可を貰い、折り畳み傘を片手に地方へと旅立つ。クロード・チアリの切ないギターをバックにゆっくりとした場面展開で事件を解決していく。音川が買ってくる秋山課長への土産に注目。

::女弁護士朝吹里矢子

これも老舗シリーズの一つで、弁護士・朝吹里矢子が裁判を通して事件の真相を追う。十朱幸代のキャラクターが見事にはまった作品であったが、現在は財前直見に交代するとともに設定を大幅に変更し雰囲気も一新。脇役として、法律事務所の所長(ケーシー高峰→小林稔侍)、情報収集担当(下川辰平→左とん平→宮川一朗太)、事務員(大山のぶ代→茅島成美)らが登場する。また、現在は夫の北村邦夫(梨本謙次郎)も存在する。苗字が「朝吹」でないのは夫婦別姓のため。

::法医学教室の事件ファイル

これも1時間の連ドラであったが、1994年から土曜ワイドで放送されるようになった。主役は港南医科大学付属病院監察医務室の監察医・二宮早紀(名取裕子)と、夫で横浜東署刑事の二宮一馬(宅麻伸)で、これに横浜地検検事・村中葉子(五十嵐めぐみ)が加わる。助手とともにボディーペイントなどを行って検証するシーンと夫婦のけんかに注目。

::婚約旅行シリーズ

月刊「鉄路」のトラベルライター・瓜生慎(林隆三→小野寺昭)と婚約者の真由子(石川ひとみ→川島なお美)が、取材を兼ねた婚約旅行中に殺人事件に遭遇する。現場では、天狗や座敷わらしといったその土地に由来する架空の生物が目撃され、これをヒントに過去の事件へ目を向けることにより、復讐劇の全貌を浮かび上がらせていく。オオゼキ警部役としてケーシー高峰が濃いキャラで登場。脇役ながら朝吹里矢子のときとは全く異なる演技に注目したい。

::三毛猫ホームズ

赤川次郎原作のユーモアミステリー。警視庁捜査一課刑事・片山義太郎(石立鉄男)と恋人の吉塚雪子(坂口良子)が、名探偵の猫とともに事件に挑む。後に火曜枠へ移動し、義太郎役は三浦洋一が担当。恋人のポジションは原作どおり妹・晴美に変更し小林聡美が演じた。火曜枠消滅とともに休止していたが、長いブランクを経て陣内孝則主演により特番的に2作品放送している。

::幽霊シリーズ

これも赤川次郎原作のシリーズ。迷探偵コンビシリーズとも呼ばれる。女子大生・永井夕子(浅茅陽子→藤谷美和子)と警視庁の宇野喬一警部(田中邦衛)の迷探偵コンビが殺人事件の捜査を行う。かなり初期の作品なので再放送されることもほとんどない。なお、シリーズ終了後に同じく田中邦衛主演により「迷探偵記者羽鳥雄太郎と駆け出し女刑事」シリーズが誕生しているが、こちらは赤川次郎原作ではない。

::山村美紗サスペンス

山村美紗については特に紹介する必要もないであろう。ほとんどの作品が京都を舞台としており、密室トリックや電話トリックが見物。設定は女性+男性を主役としたものが多く、共通して狩矢警部が登場するのが特徴である。代表的なものとして「沢木麻沙子シリーズ」「町村佐知子&浜口一郎シリーズ」「舞妓さんは名探偵!」などが挙げられる。近年は藤谷美紀主演の「狩矢警部親娘シリーズ」を中心に制作されている。

::探偵神津恭介の殺人推理

東京大学理学部教授の神津恭介(近藤正臣→村上弘明)が主役。脇役として、大学の後輩で記者をしている松下研三(大和田獏→太川陽介)と妹の神津信子(飯干恵子→森口瑤子(←灘陽子))、それに研三の兄で警視庁捜査一課長の松下英一郎警部(蟹江敬三→松山政路→岸部シロー)が登場する。設定は明智小五郎とミステリー研究会シリーズのちょうど中間という印象である。

::名探偵金田一耕助

金田一耕助は他局では多く放送されているが、なぜか土曜ワイド劇場ではあまり取り上げられず、数年おきにわずか5作品が制作されたにすぎない。2作目以降はすべて小野寺昭が金田一耕助を演じているが、記念すべき第1作はなんと愛川欽也がやっているらしい。残念ながら筆者はこの作品を見ていないのでコメントしようがないが、ぜひ再放送してもらいたいものである。

::鉄道捜査官

鉄道警察隊東京駅分駐所の花村乃里子(沢口靖子)が駅構内や車内で発生した事件を追う。乃里子は、夫が殉職して以来、義母・花村光代(大方緋紗子)と2人暮らし。光代が営む小料理「花むら」では乃里子と倉田剛課長(地井武男)が推理を展開する重要な場となる。初期の作品では「鉄道おんな捜査官」という名称を使用しており、花村主任・三崎真弓(今村恵子)・轟悦子(松本ちえこ)の3名で「レディース」を構成していた。原作は西村京太郎が多いが、特に限定しているわけではなく、他の作者の作品も使用される。エンディングでの倉田課長の花言葉に注目。

::俺たちの強盗

1996・1997年の新春スペシャルとして2作品のみの制作。元刑事の久保平助(植木等)・元詐欺師の山本厳(いかりや長介)・時計店「刻々堂」を営む野村常次(谷啓)・元役者の江口進吉(1作目の途中で死去)(下元勉)の平均72歳が強盗を計画・実行するものの事態は予期せぬ方向へ。世の中が腐りきっていることを実感した3人は、親友を喪ったのをきっかけに復讐へと再び立ち上がり、久保の立てたシナリオに従って第二の幕を上げる。久保の娘夫婦として室田孝正(所ジョージ)と室田恵子(木内みどり)が登場するほか、仲本工事と渡辺いっけいが華を添える。エンディングでの記念撮影に注目。

::京都南署鑑識ファイル

京都南署の鑑識官・円城寺りつ子(田中美里)が科学捜査を駆使してトリックを暴く。かつて“鑑識の神様”と呼ばれたりつ子の亡父をよく知る上司の志賀隆造(小林稔侍)は、公私共にりつ子の面倒を見ている。りつ子は、亡父や志賀が行きつけの小料理屋「竜子」の2階に居候しており、女将の久坂竜子(茅島成美)もまたりつ子の母親代わりである。ほかに、南署の刑事・玉木ケイ子(黒田福美)、府警の刑事・立石勝彦(井田國彦)、監察医・曽我部元春(池内万作)らが登場。

日舞家元など一般人には馴染みのない上流階級の地位・名誉がらみの犯罪は、かつての土曜ワイド劇場が得意としていたパターンだ。登場人物が限られるため視聴者にとっても人物相関を把握しやすく、ゲスト主役や脇役にベテランと若手をバランスよく配置することで効果アップを実現している。この古き良きパターンに、テンポの良い音楽と現代的な演出を重ね合わせることで全く新しい作品となった。まさに新旧の見事な融合と言えよう。主役の名前を冠したライトなシリーズが乱立する中で、唯一、今後が期待できるシリーズである。

::おとり捜査官・北見志穂

警視庁捜査一課の北見志穂(松下由樹)が囮になって事件を解決へと導く。したがって、本シリーズにおいて発生する事件の被害者は主に女性である。当初は、捜査が行き詰まった段階で、唯一の女性刑事である北見が「私、囮になります。」と井原主任(小木茂光)に申し出るパターンであった。最近では、捜査会議で沈黙が流れた後、全員が「いつものあれで」といった目で北見を見ることで、半ば強制的に言わされている感じがする。北見と袴田刑事(蟹江敬三)のコンビネーションも抜群。原作は山田正紀の「女囮捜査官」だが、5作品しか存在しないため、以降はオリジナル脚本により継続している。

::妻シリーズ

主役は警視庁捜査一課の杉本慎一(三浦友和)。杉本の身内や親しい友人が殺害され、単身捜査に乗り出す。2001年に放送された「殺人容疑者の妻!」(ジェームズ・アンダースン原作)が好評だったためオリジナル脚本によりシリーズ化された。他にレギュラー出演者がおらず、極めて単発色の強いシリーズ。

::火災調査官・紅蓮次郎

サスペンスの帝王・船越英一郎の初主演作品。制作コストが高くつくため敬遠されがちな火災をあえて題材にした作品で、原作は同名の漫画。小田原市消防本部が全面バックアップ。

美津原市消防署の紅蓮次郎(船越英一郎)は、火災で妻を亡くしたのをきっかけに火災調査官へ転向した。現在は息子・俊介(三觜要介)との2人暮らし。蓮次郎は部下の白井勇一(河相我聞)とともに放火事件の出火原因究明にあたる。蓮次郎と鴇田早苗(山下容莉枝)、俊介と鴇田円(福本奈々)の恋の行方にも注目。

::検事・朝日奈耀子

東京地検の検事・朝日奈耀子(眞野あずさ)が検察事務官の大山聡(内藤剛志)とともに事件の真相に迫る。捜査検事なので裁判シーンはなく、あくまでも地検での取り調べと追加捜査を中心とした構成で、耀子の「あなたを絶対に許さない!あなたを起訴します!」でエンディングを迎える。朝日奈検事は医師免許を持っており、取り調べ中の被疑者の脈拍を測って嘘をついているか判断したり、聞き込み中に発生した急病人の応急処置をしたりするシーンが登場する。出演は他に倉持刑事部長(北村総一朗)、同僚の小柳検事(深浦加奈子・2作目のみ山下容莉枝)、倉持部長が恋心をよせている小料理屋「礼子」の女将・宮崎礼子(大島さと子)。十朱幸代時代の女弁護士・朝吹里矢子に雰囲気がよく似ており、名前に「朝」を含めたのも意識してのことだろうか。ゴミ捨て当番だからと大山が出張を拒むシーンと、なぜか耀子の分まである大山の愛妻弁当に注目。

::温泉㊙大作戦!

旅館再生のスペシャリスト集団が、経営不振に陥っている旅館に乗り込み、経営の立て直しを図る。メンバーは、旅館経営のスペシャリスト・星野さつき(森口瑤子)、創作料理のスペシャリスト・島慎之介(東幹久)、館内装飾・おもてなしのスペシャリスト・桜井恵美(星野有香)、温泉のスペシャリスト・岩田幸平(村田雄浩)、そして、旅館コンサルタント業界のカリスマとしても有名な城之内コンサルティング社長・城之内愛子(野際陽子)。さつき達は、旅館で働く板長や仲居とケンカしながら、従業員の意識改革を遂げ、旅館が賑わいを取り戻すまでをサポートする。一応殺人事件も発生するが、ほとんど旅番組と言って良いだろう。「星野」という名前からも「星野リゾート」をモデルにしているものと思われる。また、企画段階では主演は伊藤蘭だったようである。

::事件

北大路欣也が弁護士を演じる本格的な社会派ヒューマンドラマ。冒頭で既に犯人が判明していることが多く、被告人がなぜ犯行に至ったのか、または誰を庇っているのかを法廷で解き明かしていくパターンが多い。したがって舞台は裁判所と拘置所での面会シーンが中心。毎回、いじめ、DV、介護疲れといった昨今の難しいテーマに取り組んでおり、エンディングでの裁判長が読み上げる主文は、視聴者に疑問を投げかけ考えさせる内容になっている。

第1作は大岡昇平の「事件」が原作。その後は、他の作者の作品やオリジナル脚本により継続されている。当初は北大路欣也の役名は毎回異なっていたが、脚本が田子明弘に変わった第4作以降は「伊丹秀一」に固定されている。他に弁護士事務所のスタッフとして、加瀬直人(山下徹大)、本多和美(山下容莉枝)が登場する。

::はみだし弁護士・巽志郎

エリート検事を辞めて弁護士に転身したいわゆるヤメ検の巽志郎(三浦友和)が主役。神田の小さな雑居ビルに事務所を構え、スタッフは野村真知子(あき竹城)と第6作から加わった三枝美穂(坂下千里子)の2人だけ。給料もろくに払えず家賃も滞納しているという貧乏弁護士。地方への出張旅費は真知子のへそくりを切り崩して捻出することが多く、経費を浮かすために女性ゲストと行動を共にするのが定番。稀に巽の別れた妻・安達加奈子(一色彩子→涼風真世)も登場する。

弁護士にもかかわらず法廷シーンは原則として登場せず、オープニングとエンディングは競馬場という異色の作品。第10作で神田の事務所を引き払っており、これが最終回と思われる。

::おばはん刑事!流石姫子

横浜本牧署の刑事・流石姫子(中村玉緒)が主役。姫子は若い頃に現・警察庁次長の堤啓吾(北村総一朗)と交際していたが、啓吾の両親の強い反対にあって結婚には至らず、以来独身生活を送っている。横浜本牧署の署長・堤恭一(鶴見辰吾)は、2人の間に生まれた息子であるが、署員にはこの事実を隠している。他の主な出演者は、丸山圭司(梶原善)、木村琢八(柳沢慎吾)、安井民夫(山崎一)、鴨下秀樹(松永博史)の各刑事、刑事課長・山城大吉(清水章吾)、鑑識・秋葉信太朗(鴈龍太郎)、元署長・進藤正雄(高松英郎)など。出演ではないが、姫子はキムタクファンという設定のため、初期の作品では自宅に木村拓哉の写真が飾られていた。第4作から加わった柳沢慎吾の役名が「木村琢八」であるのもこれに関係している。

第1作は夏樹静子の原作でそれ以降はオリジナル脚本。最終回で啓吾と姫子が結婚式を挙げて幕を閉じた。

::相棒-警視庁ふたりだけの特命係-

警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)のコンビが活躍するストーリー。右京は冷静沈着、頭脳明晰だが警察組織に馴染めないという設定で、部下になった刑事は悉く辞めてしまう。そんな特命係は「警視庁の墓場」と言われ、自主的に退職を促す目的で不要な人材が送り込まれてくる。どちらかというと「ショムニ」に近いイメージだ。ある事件で失態を犯した亀山も特命係に左遷されるが、今までの刑事とは違って次第に右京に惹かれていき、対照的な2人が徐々に最高のコンビへと変貌を遂げる。脇役も含めて登場人物の設定がしっかり練り込まれているのが人気に繋がったと言えよう。

「探偵事務所」の後継シリーズとして3作品が制作され、その後、水曜9時枠の1時間ドラマへ移行。土曜ワイドとしては2006年に「法律事務所」シリーズへ引き継いでいる。「法律事務所」第1作のサブタイトルは「刑事が裁判官を殺した?」であり、「相棒」第1作の「刑事が警官を殺した?」を意識したものと推測される。

::炎の警備隊長・五十嵐杜夫

警備会社に勤務する五十嵐杜夫(小林稔侍)と、その指導の下に成長していく黒崎主税(小泉孝太郎)ら部下たちの姿を描くシリーズ。

五十嵐は元々消防のレスキュー隊長だったが、火災現場から逃げ遅れた人を救出するため危険を顧みずに炎の中に飛び込もうとする部下・森田を制止することができず、殉職させてしまった。娘・雅子(加藤貴子)の恋人でもあった森田を守れなかったことを悔やみ辞職。知り合いの長谷川剛(中山仁)の計らいで警備会社に転職したという設定。

五十嵐は口下手で不器用なところがあり、部下の反感を買って度々衝突するが、回を追うごとに信頼関係が芽生え始め、次第に尊敬されるようになっていく。これは本シリーズの重要なテーマとなっており、ぜひとも第1作から順番に見ていただきたいシリーズだ。